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使い方 財務会計

学校法人の財産目録|新基準の様式と確認点

学校法人会計基準の改正で第8号様式が新設された学校法人の財産目録について、記載対象、基本財産・運用財産の区分、貸借対照表との関係、作成期限と理事会承認、備置き・閲覧・公表を条文で整理します。

この記事の内容
  1. 結論:会計年度末の全資産・負債を、基本財産・運用財産・収益事業会計に区分して第8号様式で作り、3か月以内に理事会承認を受けて備え置く
  2. 1. 記載対象と区分
  3. 2. 様式と記載例
  4. 3. 作成期限・承認・監査
  5. 4. 備置き・閲覧・公表
  6. 5. 経過措置(令和6年度分)
  7. 6. 担当者の確認点
  8. よくある質問
  9. まとめ

財産目録は、以前から私立学校法で作成が義務づけられていましたが、様式は法令で定められていませんでした。令和7年4月1日施行の学校法人会計基準の改正で第8号様式が新設され、記載の区分や貸借対照表との関係が条文で決まりました。基準の改正は令和7年度以降の会計年度に適用されますが、令和6年度分の財産目録は経過措置により新法で作成されています(第5節)。

この記事では、財産目録の記載対象、区分、作成期限、承認・備置き・閲覧・公表の義務、経過措置を、私立学校法・学校法人会計基準・文部科学省通知の条文で整理します。記載例は文部科学省の通知(6高私参第27号 別添4)にあり、本記事では独自の記載例は作りません。基準全体の整理は学校法人会計基準とはをご覧ください。

結論:会計年度末の全資産・負債を、基本財産・運用財産・収益事業会計に区分して第8号様式で作り、3か月以内に理事会承認を受けて備え置く

  • 財産目録は会計年度末現在の全ての資産・負債の名称・数量・金額等を詳細に表示する書類で、様式は学校法人会計基準第47条で新設された第8号様式です
  • 資産は基本財産・運用財産・収益事業会計資産、負債は固定負債・流動負債・収益事業会計負債に区分し、金額は貸借対照表と一致させます
  • 作成期限は会計年度終了後3か月以内(私立学校法第107条第1項)。理事会の承認が必要で、監査・評議員会の手続が準用されます
  • 定時評議員会の日から主たる事務所に5年、従たる事務所に写しを3年備え置き、在学者その他の利害関係人の閲覧請求を正当な理由なく拒めません。公表は努力義務で、大臣所轄学校法人等は公表義務があります

1. 記載対象と区分

学校法人会計基準第43条は、財産目録に会計年度末現在の全ての資産及び負債につき、その名称、数量、金額等を詳細に表示することを定めています。第44条は収益事業会計への投資と資本等の相殺消去を定めています。

第45条・第46条の区分は次のとおりです。

資産の額負債の額
基本財産固定負債
運用財産流動負債
収益事業会計資産収益事業会計負債

金額は貸借対照表と同一です。基本財産と運用財産の区分は、私立学校法第17条第1項と寄附行為を踏まえて各法人が決めるものとされ、文部科学省の通知(6高私参第27号 第六)は貸借対照表より詳細な記載が望ましいとしています。

2. 様式と記載例

様式は第8号様式で、文部科学省が第1号〜第8号の様式をExcelで公開しています。記載例は令和7年3月27日の通知(6高私参第27号)別添4「財産目録の記載例」にあり、都道府県(埼玉県の作成例、愛知県の様式一式、東京都の留意点など)も参考資料を公開しています。記載の細部(資産の名称の粒度、数量の単位)は所轄庁の指示と寄附行為に従ってください。

3. 作成期限・承認・監査

  • 作成:毎会計年度終了後3か月以内(私立学校法第107条第1項)。3月決算なら6月30日まで
  • 承認:理事会の承認が必要で、監査と評議員会の手続(第104条・第105条、施行規則第30〜42条)が準用されます(施行規則第43条)
  • 監査:会計監査人設置学校法人等では、財産目録のうち貸借対照表に対応する項目が会計監査人の監査対象になります(第86条第1項、施行規則第24条)

決算全体の逆算表は学校法人の決算実務にまとめています。

4. 備置き・閲覧・公表

  • 備置き:主たる事務所に定時評議員会の日から5年、従たる事務所に写しを3年(第107条第3・4項)
  • 閲覧:在学者その他の利害関係人が請求でき、正当な理由なく拒めません。大臣所轄学校法人等は「何人も」閲覧を請求できます(第107条第5項、第149条第2項)
  • 公表:努力義務(第137条第2号、施行規則第49条)。大臣所轄学校法人等は遅滞なく公表する義務があります(第151条)

5. 経過措置(令和6年度分)

令和7年4月24日の文部科学省事務連絡により、令和6年度分の財産目録は改正法附則第4条の対象外として新法が適用されることが示されました。令和7年6月末までに作成し、理事会の承認が必要でした。令和6年度分を暫定的な区分で作成した法人は、令和7年度分で基本財産・運用財産の区分を寄附行為と照らして見直す機会になります。

6. 担当者の確認点

  1. 基本財産と運用財産の区分を、寄附行為と私立学校法第17条第1項に照らして文書化した
  2. 資産・負債の名称・数量・金額が貸借対照表の各科目と一致している
  3. 収益事業会計がある場合、投資と資本等の相殺消去を行った
  4. 会計年度終了後3か月以内に理事会承認を受ける日程を、監査報告の期限から逆算した
  5. 備置き(5年・3年)と閲覧対応の担当を決め、大臣所轄法人は公表の方法を決めた
  6. 財務会計システムが第8号様式を出力できるか、手作業で作る場合の作成手順を確認した(新学校法人会計基準とシステム対応

よくある質問

Q. 財産目録は貸借対照表と何が違いますか? A. 金額は同一ですが、財産目録は基本財産・運用財産の区分で資産を並べ、名称・数量を詳細に表示する点が違います。

Q. 知事所轄の法人にも公表義務がありますか? A. 公表は努力義務です(第137条)。公表義務があるのは大臣所轄学校法人等(第151条)です。閲覧請求への対応は全法人に必要です。

Q. 記載例はどこにありますか? A. 文部科学省の通知(6高私参第27号)別添4に記載例があり、都道府県の私学担当部署も作成例を公開しています。

まとめ

財産目録は従前から作成義務のある書類で、改正で第8号様式が新設され、基本財産・運用財産・収益事業会計の区分と貸借対照表との一致が条文で定められました。作成は会計年度終了後3か月以内、理事会承認(会計監査人設置学校法人等では会計監査人の監査も)を経て、定時評議員会の日から5年備え置き、閲覧請求に応じます。区分の考え方を寄附行為に照らして文書化し、システムの出力可否を確認しておくことが実務の要点です。

出典・参考情報

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