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学校法人会計基準とは|企業会計との違いと改正要点

学校法人会計基準の法的な位置づけ、適用される法人、作成する計算書類と附属明細書、企業会計との違い、令和7年4月1日施行の改正(私立学校法改正に伴う位置づけの転換・様式の変更)を、文部科学省の通知・Q&Aと法令の条文で整理します。

この記事の内容
  1. 結論:私立学校法に位置づけられた「情報開示のための基準」になり、全ての学校法人に適用される
  2. 1. 法的な位置づけと改正の経緯
  3. 2. 適用される法人
  4. 3. 作成する書類
  5. 4. 企業会計との違い
  6. 5. 改正で変わった主な点(令和7年度から)
  7. 6. 担当者が押さえる期限
  8. よくある質問
  9. まとめ

学校法人の財務・経理担当者に配属されると、最初に「学校法人会計基準は企業会計と何が違うのか」「令和7年度から何が変わったのか」を説明しなければならない場面が来ます。監査法人の解説は会計処理の細部に入りますが、法人本部や理事会向けにはもう少し手前の整理が要ります。

この記事では、学校法人会計基準の位置づけ、適用される法人、作成書類、企業会計との違い、令和7年4月1日施行の改正の要点を、文部科学省の通知・Q&Aと法令の条文で整理します。システム側の対応は新学校法人会計基準とシステム対応、製品の比較は学校法人会計システム比較をご覧ください。国立大学法人は別の基準に従います(国立大学法人会計基準とは)。

結論:私立学校法に位置づけられた「情報開示のための基準」になり、全ての学校法人に適用される

  • 学校法人会計基準は文部科学省令で、改正私立学校法第101条が定める「文部科学省令で定める基準」です。従前は私立学校振興助成法のもとで補助金の適正配分を主な目的としていましたが、令和5年改正の私立学校法により、ステークホルダーへの情報開示を主な目的とする基準として私立学校法に位置づけられました
  • 適用されるのは全ての学校法人と、専修学校・各種学校のみを設置する準学校法人です。令和7年度以降の会計年度から適用され、令和6年度以前は従前の例によります
  • 作成するのは、会計帳簿、計算書類(貸借対照表・事業活動収支計算書・資金収支計算書・活動区分資金収支計算書)、事業報告書、附属明細書(固定資産明細書・借入金明細書・基本金明細書)、財産目録です
  • 企業会計との大きな違いは、資金収支計算書と基本金の仕組み、そして補助金・寄付金を前提にした収支の区分にあります

1. 法的な位置づけと改正の経緯

学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)は、改正私立学校法(令和5年法律第21号、令和5年5月8日公布、令和7年4月1日施行)の第101条が定める基準です。この改正に合わせて「学校法人会計基準の一部を改正する省令」(令和6年文部科学省令第28号)が令和6年9月30日に公布され、令和7年4月1日に施行されました。改正省令の附則により、令和7年度以降の会計年度に適用され、令和6年度以前の会計年度は従前の例によります。

文部科学省の通知(6文科高第1045号)は、今回の改正の趣旨を、補助金の適正配分を主な目的とする基準(私立学校振興助成法)から、ガバナンス強化の観点でステークホルダーへの情報開示を主な目的とする基準(私立学校法)への転換と説明しています。

2. 適用される法人

基準第1条第2項により、適用対象は私立学校法第3条の学校法人と、第152条第5項の法人(専修学校・各種学校のみを設置する、いわゆる準学校法人)です。収益事業会計については、計算書類に代えて企業会計原則による貸借対照表と損益計算書を作成します(第1条第2項ただし書・第3条)。

助成法の対象法人(補助金を受ける法人)は、これに加えて事業活動収支・資金収支・人件費支出の内訳表3種を添付して所轄庁に提出します(私立学校振興助成法第14条第4項、同法施行規則第2条)。内訳表は改正で計算書類から外れ、助成法施行規則の様式に移りました。

3. 作成する書類

区分書類根拠
会計帳簿会計帳簿(閉鎖の時から10年保存)私立学校法第102条
計算書類貸借対照表、事業活動収支計算書、資金収支計算書、活動区分資金収支計算書基準第16条
計算書類等計算書類+事業報告書+附属明細書(10年保存)私立学校法第103条
附属明細書固定資産明細書、借入金明細書、基本金明細書(旧「附属明細表」から名称・位置づけが変更)基準第41条
財産目録会計年度末の全ての資産・負債を記載(第8号様式)私立学校法第107条、基準第47条

注記は計算書類の末尾に一本化され、セグメント情報と子法人に関する事項が新設されました(基準第40条)。様式は第1号(貸借対照表)から第8号(財産目録)まで文部科学省が公開しています。財産目録の詳細は学校法人の財産目録で扱います。

4. 企業会計との違い

  • 資金収支計算書:企業会計のキャッシュ・フロー計算書とは別に、当該会計年度の支払資金の収入と支出の内容、および支払資金の収支のてん末を明らかにする計算書を作ります。活動区分資金収支計算書で教育活動・施設整備・その他の活動に区分します
  • 事業活動収支計算書:損益計算書と類似する面はありますが、目的・収支区分・基本金組入れ後の収支表示が異なります。教育活動収支・教育活動外収支・特別収支の区分で、学生生徒等納付金・手数料・寄付金・経常費等補助金といった学校法人固有の科目で構成されます
  • 基本金:学校法人が教育研究活動を継続するために維持すべき資産の額を基本金として組み入れる仕組みで、企業会計の資本金とは性格が異なります。基本金明細書には改正で「当期組入対象額」「当期取崩対象額」の行が加わりました
  • 引当金:改正で「退職給与引当金のほか、引当金については…合理的な見積額のうち当該会計年度の負担に属する金額を…繰り入れ」ることが明文化されました(基準第11条第2項)。文部科学省のQ&Aは、将来の特定の支出、当年度以前の事象起因、発生可能性が高い、合理的に見積可能の要件を満たす場合に賞与引当金等を計上することを示し、人件費の小科目「賞与引当金繰入額」の例を挙げています

5. 改正で変わった主な点(令和7年度から)

  1. 位置づけが助成法から私立学校法へ移り、全ての学校法人(準学校法人を含む)に適用
  2. 計算書類の記載科目の別表が並び替え(旧基準の別表第一=資金収支、第三=貸借対照表 → 新基準の別表第一=貸借対照表、第二=事業活動収支、第三=資金収支)
  3. 附属明細書の名称変更(附属明細表→附属明細書)と、基本金明細書・借入金明細書の記載変更(借入金明細書は金融機関名不要、種類別集計)
  4. 注記の一本化と、セグメント情報・子法人に関する事項の新設
  5. 財産目録の法定様式(第8号)の新設
  6. 引当金の明文化と、令和7年度期首時点で発生している引当金の繰入を特別収支に計上できる経過的な扱い(6高私参第27号)
  7. 内訳表の助成法施行規則への移行

計算書類の作成方法は文部科学省の通知(6高私参第27号、令和7年3月27日)に別添の記載例があり、Q&A(2026年3月23日更新)が全般・収入支出・資産負債・純資産・計算関係書類・その他の6区分で公開されています。

6. 担当者が押さえる期限

  • 計算書類等・財産目録の作成:会計年度終了後3か月以内(私立学校法第103条・第107条)
  • 監事監査(会計監査人設置学校法人等では会計監査人監査も)を経て理事会で承認し、定時評議員会に提出・報告
  • 備置き:計算書類等・監査報告は定時評議員会の日の1週間前から5年、財産目録等は定時評議員会の日から5年(主たる事務所)
  • 助成対象法人の所轄庁提出:3か月以内に計算書類・附属明細書・翌年度収支予算書と監査報告(内訳表添付)

年間の逆算表は学校法人の決算実務にまとめています。

よくある質問

Q. 新基準の初年度決算はいつでしたか? A. 令和7年度(2025年4月〜2026年3月)が初年度で、2026年5〜6月の決算で新様式の計算書類を作成しています。令和6年度分の財産目録については、令和7年4月24日の事務連絡で改正法附則の対象外として新法が適用される旨が示されました。

Q. 知事所轄の小規模法人でも同じ様式ですか? A. 会計監査人を置かない知事所轄法人は、別表の注により「機器備品」「経費」などの科目統合が認められています(基準第48〜50条)。都道府県が標準科目を通知している場合は、その通知の適用対象を確認したうえで従います。

Q. 学校法人会計の解説動画や研修はありますか? A. 文部科学省が大臣所轄向け・知事所轄向けの解説動画と解説資料を公開しています。日本私立学校振興・共済事業団も学校法人会計のQ&Aを掲載しています。

まとめ

学校法人会計基準は、令和5年改正私立学校法により情報開示のための基準として位置づけ直され、令和7年度から全ての学校法人に適用されています。資金収支計算書と基本金、学校法人固有の収支区分が企業会計との違いで、改正では別表の並び替え、附属明細書と注記の再編、財産目録の法定様式、引当金の明文化が行われました。作成期限は会計年度終了後3か月以内です。所轄庁への提出義務と期限は、助成法の適用対象かどうかと所轄庁の通知で確認し、監査・理事会・評議員会の日程から逆算して準備してください。

出典・参考情報

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