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国立大学法人会計基準とは|適用主体と改訂要点

国立大学法人会計基準の位置づけ、適用法人、財務諸表の構成、令和4年・6年・8年の改訂と適用時期、実務指針、公立大学法人との違いを、文部科学省・法令・公認会計士協会の公式資料で整理します。

この記事の内容
  1. 結論:企業会計原則を土台に、文部科学大臣が公示する基準が優先して適用される
  2. 1. 法的な位置づけと適用主体
  3. 2. 財務諸表の作成・提出・公表
  4. 3. 財務諸表の体系(令和4年改訂後)
  5. 4. 改訂の履歴と要点
  6. 5. 実務指針と関連文書の所在
  7. 6. 公立大学法人・独立行政法人との違い
  8. 7. 財務担当者が確認すること
  9. まとめ

国立大学法人の財務・経理担当者にとって、国立大学法人会計基準は「財務諸表を作るときに従う基準」であると同時に、会計監査人が監査で依拠する基準でもあります。私立大学の学校法人会計基準とは別の体系で、改訂も別の時期に行われます。

この記事では、国立大学法人会計基準の位置づけ、適用される法人、財務諸表の構成、直近の改訂(令和4年・令和6年・令和8年)と適用時期、実務指針の所在、公立大学法人との違いを、文部科学省と法令、日本公認会計士協会の公式資料で整理します。私立大学向けの学校法人会計基準は新学校法人会計基準とシステム対応をご覧ください。

結論:企業会計原則を土台に、文部科学大臣が公示する基準が優先して適用される

  • 国立大学法人には独立行政法人通則法の会計規定が準用され、会計は「原則として企業会計原則による」とされています。そのうえで、文部科学大臣が公示する国立大学法人会計基準が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に優先して適用されます
  • 財務諸表は事業年度終了後3か月以内に文部科学大臣に提出して承認を受け、承認後に官報公告と事務所への備置きを行います
  • 財務諸表の体系は、貸借対照表・損益計算書・純資産変動計算書・キャッシュ・フロー計算書・利益の処分又は損失の処理に関する書類・附属明細書です。国立大学法人等業務実施コスト計算書は令和4年改訂で廃止されました
  • 直近の改訂は令和6年2月21日(新株予約権・大学運営基金・国際卓越研究大学への助成)と令和8年1月30日(リース会計。令和11年4月1日以後に終了する事業年度から適用)です

1. 法的な位置づけと適用主体

国立大学法人法第35条の2により、国立大学法人等には独立行政法人通則法の会計に関する規定が準用され、主務大臣は文部科学大臣と読み替えられます。準用される通則法第37条は「独立行政法人の会計は、主務省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする」と定めています。

国立大学法人法施行規則第13条は、会計は施行規則に定めのないものについて一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うこととし、文部科学大臣が公示する国立大学法人会計基準がそれに優先して適用されると定めています。会計監査人の意見(無限定適正・限定付適正・不適正)も、国立大学法人会計基準への準拠を判断基準にします(施行規則第16条の4第3項)。

適用されるのは国立大学法人と大学共同利用機関法人(国立大学法人等)です。独立行政法人国立高等専門学校機構は独立行政法人会計基準、公立大学法人は地方独立行政法人会計基準に従います。

2. 財務諸表の作成・提出・公表

準用される通則法第38条により、国立大学法人は毎事業年度、貸借対照表・損益計算書・利益の処分又は損失の処理に関する書類その他省令で定める書類と附属明細書(財務諸表)を作成し、事業年度終了後3か月以内に文部科学大臣に提出して承認を受けなければなりません。事業報告書・決算報告書・監査報告(会計監査報告)を添付し、承認後は官報に公告し、事務所に備え置きます。

施行規則第15条が定める省令書類は、純資産変動計算書とキャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表(連結貸借対照表・連結損益計算書・連結純資産変動計算書・連結キャッシュ・フロー計算書・連結附属明細書)です。

利益は、前期繰越損失を埋めた残余を積立金に整理します(準用通則法第44条)。損益計算書は同条の利益を確定するために当期総利益を表示します。

3. 財務諸表の体系(令和4年改訂後)

国立大学法人会計基準第38は、財務諸表の体系を次のとおり定めています。

  1. 貸借対照表
  2. 損益計算書
  3. 純資産変動計算書
  4. キャッシュ・フロー計算書
  5. 利益の処分又は損失の処理に関する書類
  6. 附属明細書

令和4年2月10日の改訂で、国立大学法人等業務実施コスト計算書が廃止され、代わりに「国民の負担に帰せられるコスト」等の注記が追加されました。同じ改訂で純資産変動計算書が新設され、連結剰余金計算書は廃止されています。

4. 改訂の履歴と要点

令和4年2月10日改訂

  • 資産見返負債の会計処理を廃止し、償却資産の取得時に財源を一括で収益化
  • 国立大学法人等業務実施コスト計算書の廃止と、「国民の負担に帰せられるコスト」等の注記追加
  • 減価償却引当特定資産、国立大学法人等債償還引当特定資産の新設
  • 純資産変動計算書の新設、連結剰余金計算書の廃止
  • 収益認識・時価算定・会計上の見積りの開示への対応

従前は資産見返負債を減価償却に応じて収益化することで損益均衡を図っていましたが、令和8年1月30日改訂の文書では、令和4年改訂後は「原則として損益は均衡しない」と説明されています。

令和6年2月21日改訂

  • 新株予約権:無償取得は本源的価値を取得原価とし、取得原価で評価(上場会社分は本源的価値)
  • 大学運営基金の創設:運営方針会議を置く法人が余裕金の運用に充てる額を「大学運営基金」科目で資本剰余金に組み入れ、繰越欠損金があれば取り崩して補填
  • 国際卓越研究大学への助成(科学技術振興機構)は「寄附金に類似した会計処理」で年度を超えて柔軟に執行

適用時期は「令和6年4月1日以後に終了する事業年度から」。ただし大学運営基金と国際卓越研究大学への助成は、国立大学法人法の一部改正法(令和5年法律第88号)の施行に合わせ「令和6年10月1日以後に終了する事業年度から」です。改訂の経緯として、新株予約権の時価評価で「時間的・経済的負担が増加していることが判明」したこと、余裕金運用で「大学が運用する資金の元本が増強されにくいという課題」があったことが公式文書に記されています。

令和8年1月30日改訂

企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」と独立行政法人会計基準(令和7年9月29日改訂)を受け、借手のリースに使用権資産とリース負債を計上する単一の会計処理モデルを導入しました。無償借受資産はリースの対象外、利息の配分は利息法が原則です。適用は「令和11年4月1日以後に終了する事業年度から」です。

5. 実務指針と関連文書の所在

  • 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針:平成15年7月10日制定、令和6年6月13日最終改訂。文部科学省と日本公認会計士協会の共同で検討され、改訂後のQ&Aは令和6事業年度から適用(大学運営基金等は令和6年10月1日以後に終了する事業年度から)
  • 国立大学法人の財務報告に関する基本的な指針:令和6年2月21日改訂
  • 日本公認会計士協会「国立大学法人等の財務諸表に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」:2025年7月17日
  • 一覧は文部科学省「国立大学法人等」ページにまとまっています

令和8年1月30日改訂(リース)を受けた実務指針の改訂は、日本公認会計士協会の公表一覧では2024年6月18日版以降の改訂を確認できませんでした(2026年9月4日時点)。

6. 公立大学法人・独立行政法人との違い

国立大学法人公立大学法人独立行政法人(研究機関等)
根拠法国立大学法人法(通則法を準用)地方独立行政法人法独立行政法人通則法
会計基準国立大学法人会計基準(文部科学大臣が公示)地方独立行政法人会計基準(総務省)独立行政法人会計基準(総務省)
財務諸表の提出先文部科学大臣(事業年度終了後3か月以内)設立団体の長(事業年度終了後3か月以内)主務大臣
直近の改訂令和8年1月30日(リース)令和8年3月31日(公立大学法人の出資対応。令和7事業年度から適用)。令和4年8月31日改訂で資産見返負債を廃止令和7年9月29日

公立大学法人は地方独立行政法人法第33条で「原則として企業会計原則」とされ、第34条で財務諸表を設立団体の長に提出して承認を受けます。財務会計システムを選ぶときは、基準ごとの帳票・会計処理への対応状況を確認する必要があります(大学法人の財務会計システム|国立・公立を分けて比較)。

7. 財務担当者が確認すること

  1. 自法人が従う基準(国立大学法人会計基準/地方独立行政法人会計基準/独立行政法人会計基準)と、直近の改訂の適用事業年度
  2. 令和8年改訂(リース)の適用(令和11年4月1日以後に終了する事業年度)に向けた契約の棚卸しと、財務会計システムの対応時期
  3. 実務指針(令和6年6月13日改訂)のQ&Aの適用範囲と、会計監査人との確認事項
  4. 財務諸表の提出(事業年度終了後3か月以内)から逆算した決算日程と、会計監査人の監査日程
  5. 国民の負担に帰せられるコスト等の注記、純資産変動計算書の作成に必要なデータの所在

まとめ

国立大学法人会計基準は、企業会計原則を土台に、文部科学大臣が公示する基準として優先適用され、会計監査人もこれに依拠します。財務諸表は事業年度終了後3か月以内に文部科学大臣へ提出し、承認後に公表します。令和4年改訂で資産見返負債と業務実施コスト計算書が廃止され、令和6年改訂で大学運営基金などが加わり、令和8年改訂でリース会計が導入されます(令和11年度から適用)。公立大学法人と独立行政法人は別の基準に従うため、設置形態を確認してから資料を読んでください。

出典・参考情報

導入や学内ルール作りの支援(運営会社・初回相談は無料)は導入相談のページをご覧ください。