使い方 財務会計
学校法人会計基準の勘定科目と変更点
学校法人会計基準の勘定科目を定める別表第一〜第三の内容と、令和7年4月1日施行の改正で入れ替わった別表・様式の番号、内訳表・附属明細書の変更、引当金に関する科目の取扱いを条文と通知で整理します。
この記事の内容
学校法人会計基準の改正(令和6年文部科学省令第28号、令和7年4月1日施行)では、「科目を定めている別表の番号」と「様式の番号」が入れ替わりました。旧基準の条文番号や様式番号で作られた社内マニュアル・システムの設定を見ていると、同じ名前の様式が別の書類を指してしまうため、別表・様式番号の対応が実務上の確認点になります。
なお、学校法人会計基準が適用されるのは私立の学校法人と、専修学校・各種学校のみを設置する準学校法人です(第1条第2項)。国立大学法人・公立大学法人は国立大学法人会計基準・地方独立行政法人会計基準によるもので、本記事の科目はあてはまりません。
この記事では、記載科目を定める別表第一〜第三の中身、様式番号の新旧対応、内訳表と附属明細書の移動、引当金に関する科目の取扱いを、学校法人会計基準の条文と文部科学省の通知・Q&Aで整理します。科目の一覧は条文の別表が正本ですので、本記事では独自の記載例は作りません。基準全体の整理は学校法人会計基準とは、システム側の対応は新学校法人会計基準とシステム対応をご覧ください。
結論:学校法人会計基準の勘定科目は別表第一〜第三が正本で、改正では科目名より別表・様式の番号が入れ替わった
- 記載科目を定めるのは、貸借対照表が別表第一(第21条)、事業活動収支計算書が別表第二(第27条)、資金収支計算書が別表第三(第36条)です
- 旧基準では別表第一が資金収支計算書、別表第三が貸借対照表でした。改正で第一と第三が入れ替わっています
- 様式も番号が変わり、第一号様式は貸借対照表(第22条)になりました。旧基準の第一号様式は資金収支計算書です
- 内訳表3種は計算書類から外れ、私立学校振興助成法施行規則の様式(第一号〜第三号)に移りました。附属明細「表」は附属明細「書」になり、第五号〜第七号様式です
- 小科目は「適当な科目を追加し、又は細分することができる」とされており、賞与引当金の繰入額をどの科目で処理するかも各学校法人の判断に委ねられています
1. 勘定科目を定める別表と、入れ替わった番号
学校法人会計基準は、計算書類に記載する科目を条文の別表で定めています。
計算書類ごとの記載科目を定める別表(旧基準 → 新基準)
| 計算書類 | 記載科目を定める条文 | 旧基準の別表 | 新基準の別表 |
|---|---|---|---|
| 貸借対照表 | 第21条 | 別表第三 | 別表第一 |
| 事業活動収支計算書 | 第27条 | 別表第二 | 別表第二(変わらず) |
| 資金収支計算書 | 第36条 | 別表第一 | 別表第三 |
貸借対照表
- 記載科目を定める条文
- 第21条
- 旧基準の別表
- 別表第三
- 新基準の別表
- 別表第一
事業活動収支計算書
- 記載科目を定める条文
- 第27条
- 旧基準の別表
- 別表第二
- 新基準の別表
- 別表第二(変わらず)
資金収支計算書
- 記載科目を定める条文
- 第36条
- 旧基準の別表
- 別表第一
- 新基準の別表
- 別表第三
- どちらの版を使うかは施行日ではなく会計年度で決まる。改正後の基準は令和7年度以降の会計年度に適用され、令和6年度以前の会計年度に係るものは従前の例による(改正省令附則第2条)
旧基準の条文(改正前の令和7年3月31日までの版)では、資金収支計算書の記載科目が別表第一、貸借対照表の記載科目が別表第三でした。事業活動収支計算書だけが別表第二のまま変わっていません。文書やシステム設定で別表番号を参照している箇所は、どちらの版を指しているかの確認項目になります。
どちらの版を使うかは、施行日ではなく会計年度で決まります。改正省令の附則第2条は、改正後の基準を「令和七年度以降の会計年度に係る会計処理並びに計算書類(貸借対照表及び収支計算書をいう。)及びその附属明細書並びに財産目録の作成について適用し、令和六年度以前の会計年度に係るものについては、なお従前の例による」と定めています。令和7年4月1日以後に作成する書類でも、令和6年度以前の会計年度に係るものは旧基準によることになります。
2. 貸借対照表の勘定科目(別表第一)
別表第一は、資産の部・負債の部・純資産の部に分かれています。階層は部によって違い、中科目があるのは資産の部の固定資産だけです。
| 部 | 大科目 | 階層 |
|---|---|---|
| 資産の部 | 固定資産 | 大科目・中科目(有形固定資産/特定資産/その他の固定資産)・小科目 |
| 資産の部 | 流動資産 | 大科目・小科目(中科目の欄は空) |
| 負債の部 | 固定負債、流動負債 | 大科目・小科目 |
| 純資産の部 | 基本金、繰越収支差額 | 大科目・小科目 |
主な小科目は次のとおりです。
- 有形固定資産:土地、建物、構築物、教育研究用機器備品、管理用機器備品、図書、車両、建設仮勘定
- 特定資産:第2号基本金引当特定資産、第3号基本金引当特定資産、(何)引当特定資産
- その他の固定資産:借地権、電話加入権、施設利用権、ソフトウエア、有価証券、収益事業元入金、長期貸付金
- 流動資産:現金預金、未収入金、貯蔵品、短期貸付金、有価証券
- 固定負債:長期借入金、学校債、長期未払金、退職給与引当金
- 流動負債:短期借入金、1年以内償還予定学校債、手形債務、未払金、前受金、預り金
- 純資産:第1号基本金〜第4号基本金、翌年度繰越収支差額
別表第一の備考には科目の定義が付いています。たとえば「特定資産」は使途が特定された預金等をいう、「建設仮勘定」は建設中又は製作中の有形固定資産をいい工事前払金・手付金等を含む、といった具合です。科目名だけでなく備考欄まで確認しておくと、どの科目に載せるかの判断が揃います。
3. 事業活動収支計算書の勘定科目(別表第二)
別表第二は、教育活動収支・教育活動外収支・特別収支の3区分ごとに、事業活動収入の部と事業活動支出の部に分かれます。階層は大科目・小科目です。
| 区分 | 収入の部の大科目 | 支出の部の大科目 |
|---|---|---|
| 教育活動収支 | 学生生徒等納付金、手数料、寄付金、経常費等補助金、付随事業収入、雑収入 | 人件費、教育研究経費、管理経費、徴収不能額等 |
| 教育活動外収支 | 受取利息・配当金、その他の教育活動外収入 | 借入金等利息、その他の教育活動外支出 |
| 特別収支 | 資産売却差額、その他の特別収入 | 資産処分差額、その他の特別支出 |
人件費の小科目は、教員人件費、職員人件費、役員報酬、退職給与引当金繰入額、退職金です。教員人件費・職員人件費の備考には「本俸、期末手当及びその他の手当並びに所定福利費をいう」とあります。教育研究経費・管理経費の小科目には消耗品費、光熱水費、旅費交通費、減価償却額(教育研究経費には奨学費も)が挙がっています。
4. 資金収支計算書の勘定科目(別表第三)
別表第三も大科目・小科目の2階層です。
| 部 | 大科目 |
|---|---|
| 収入の部 | 学生生徒等納付金収入、手数料収入、寄付金収入、補助金収入、資産売却収入、付随事業・収益事業収入、受取利息・配当金収入、雑収入、借入金等収入、前受金収入、その他の収入 |
| 支出の部 | 人件費支出、教育研究経費支出、管理経費支出、借入金等利息支出、借入金等返済支出、施設関係支出、設備関係支出、資産運用支出、その他の支出 |
事業活動収支計算書の科目名に「収入」「支出」が付いた形が基本ですが、対応関係が一対一ではない箇所があります。たとえば事業活動収支の大科目「経常費等補助金」には備考で「施設設備補助金以外の補助金をいう」という限定が付いていますが、資金収支の大科目「補助金収入」にはこの限定がありません(事業活動収支では施設設備補助金は特別収支の「その他の特別収入」の小科目です)。また資金収支には施設関係支出・設備関係支出・資産運用支出・借入金等返済支出のように、事業活動収支には出てこない大科目があります。
5. 科目の追加・細分と、会計監査人非設置知事所轄学校法人の特例
学校法人会計基準は、別表で記載科目を定める一方、事業活動収支計算書と資金収支計算書については「学校法人は、この節の規定の趣旨に沿つて(中略)作成するため必要な勘定科目を設定するものとする」という条文も置いています(第25条・第34条)。別表が記載科目の枠を示し、その範囲で各法人が勘定科目を組む、という関係です。
別表の(注)に、科目を動かせる範囲が書かれています。
- 小科目は「適当な科目を追加し、又は細分することができる」(別表第一〜第三の注1)
- 事業活動収支計算書・資金収支計算書では、追加する小科目は形態分類による科目とされています。ただし形態分類によることが困難で、かつ金額が僅少なものは除かれます(別表第二・第三の注2)
- 事業活動収支計算書・資金収支計算書では「大科目と小科目の間に適当な中科目を設けることができる」(別表第二・第三の注3)。貸借対照表の別表第一にはこの注がなく、中科目は資産の部の固定資産に条文上定められています
会計監査人非設置知事所轄学校法人(第48条の定義:都道府県知事を所轄庁とする学校法人のうち会計監査人を置かないもの)には、科目をまとめられる特例が別表の注にあります。
| 計算書類 | まとめられる科目 | 根拠 |
|---|---|---|
| 貸借対照表 | 教育研究用機器備品・管理用機器備品 → 機器備品 | 別表第一 注2 |
| 事業活動収支計算書 | 教育研究経費・管理経費 → 経費 | 別表第二 注4 |
| 資金収支計算書 | 教育研究経費支出・管理経費支出 → 経費支出 | 別表第三 注4 |
| 資金収支計算書 | 教育研究用機器備品支出・管理用機器備品支出 → 機器備品支出 | 別表第三 注5 |
この科目統合の特例は、改正で対象が狭まりました。旧基準の別表の注は「都道府県知事を所轄庁とする学校法人にあつては」として知事所轄法人一般を対象にしていましたが、新基準の注は「会計監査人非設置知事所轄学校法人にあつては」となり、会計監査人を置く知事所轄法人は対象から外れています。改正の通知(6文科高第1045号)も、会計監査人非設置知事所轄学校法人を徴収不能引当ての特例・基本金組入れに関する特例・計算書類の作成に関する特例の対象とする、と整理しています。
このほか、会計監査人非設置知事所轄学校法人には計算書類側の特例もあります。徴収不能引当金の繰入れ(第48条)と第13条第1項第4号に係る基本金組入れ(第49条)は、高等学校を設置するものを除いて特例の対象です。活動区分資金収支計算書・基本金明細書の作成(第50条)は、高等学校を設置する法人については活動区分資金収支計算書に限って作成しないことができるとされています。
6. 様式の新旧対応と、内訳表・附属明細書の変更
様式番号も入れ替わっています。文部科学省は第1号〜第8号の様式をExcelで公開しています。
| 新基準 | 書類 | 旧基準で同じ番号だった書類 |
|---|---|---|
| 第一号様式(第22条) | 貸借対照表 | 資金収支計算書 |
| 第二号様式(第31条) | 事業活動収支計算書 | 資金収支内訳表 |
| 第三号様式(第38条) | 資金収支計算書 | 人件費支出内訳表 |
| 第四号様式(第39条第2項) | 活動区分資金収支計算書 | 活動区分資金収支計算書 |
| 第五号様式(第42条第1項第1号) | 固定資産明細書 | 事業活動収支計算書 |
| 第六号様式(第42条第1項第2号) | 借入金明細書 | 事業活動収支内訳表 |
| 第七号様式(第42条第1項第3号) | 基本金明細書 | 貸借対照表 |
| 第八号様式(第47条) | 財産目録 | 固定資産明細表 |
この表は「同じ番号が新旧で何を指すか」の対応です。書類ごとの移行先で見ると、旧第八号様式(固定資産明細表)は新第五号様式(固定資産明細書)、旧第九号様式(借入金明細表)は新第六号様式(借入金明細書)、旧第十号様式(基本金明細表)は新第七号様式(基本金明細書)にあたります。財産目録は旧基準に対応する様式がなく、第八号様式が新設されたものです(学校法人の財産目録)。
内訳表3種(事業活動収支内訳表・資金収支内訳表・人件費支出内訳表)は、学校法人会計基準の計算書類から外れました。現在は私立学校振興助成法施行規則に定めがあり、同規則の第一号様式(事業活動収支内訳表)、第二号様式(資金収支内訳表)、第三号様式(人件費支出内訳表)が使われます。様式のExcelも学校法人会計基準の様式とは別ファイルで公開されています。
この提出義務がかかるのは助成対象学校法人です。私立学校振興助成法第14条は、同法第4条第1項又は第9条に規定する補助金の交付を受ける学校法人を「助成対象学校法人」とし、第4項でこれらの法人に計算書類等の所轄庁への提出を求めています。内訳表はその提出に添付する書類として同法施行規則第2条に置かれています。補助金の交付を受けていない法人は、この提出の対象になりません。
附属明細書は名称と様式が変わりました。旧基準の「附属明細表」(固定資産明細表・借入金明細表・基本金明細表)が、新基準では「附属明細書」(固定資産明細書・借入金明細書・基本金明細書、第41条)になり、様式は第五号〜第七号様式です。記載方法についても令和7年3月27日の通知(6高私参第27号)第五が次の点を示しています。
- 固定資産明細書の「摘要」欄には、贈与・災害による廃棄その他特殊な事由による増減、または同一科目について資産総額の100分の1に相当する金額を超える額の増減があった場合に、それぞれの事由を記載する
- 借入金明細書は、借入先に金融機関の名称を記載する必要はなく、金融機関の種類(公的金融機関・市中金融機関・その他)ごとに集計して記載する。「摘要」欄には借入金の使途と担保物権の種類を記載する
- 基本金明細書は、各号基本金に「当期組入対象額」「当期取崩対象額」の行を追加し、差引きで「当期組入額(又は当期取崩額)」を記載する。第1号基本金の当期組入対象額・当期取崩対象額は、「土地」「建物」「構築物」など貸借対照表(第一号様式)の小科目単位で記載する
なお、文部科学省が公開している様式のExcelには、第1号〜第8号のほかに「付表様式第1」「付表様式第2」のシートが含まれています。付表様式第1が第2号基本金、付表様式第2が第3号基本金の「組入れに係る計画集計表」です。第七号様式(基本金明細書)の備考が「第2号基本金及び第3号基本金については、この表の付表として、基本金の組入れに係る計画集計表を次の様式に従い作成し、添付するものとする」と定めており、様式そのものに根拠があります。
書類を並べる順序については、文部科学省のQ&Aが令和6年12月9日付けの通知の「第一 文部科学大臣への書類の提出について」を引いて、次のように案内しています(大臣所轄学校法人の場合。1と2は別冊)。
- 計算書類及びその附属明細書:学校法人会計基準の第一号様式から第四号様式、注記事項、第五号様式から第七号様式、収益事業の貸借対照表及び損益計算書の順(基本金の組入れに係る計画集計表は第七号様式の後)
- 内訳表:私立学校振興助成法施行規則の第一号様式から第三号様式の順
これは様式の並べ方の案内です。実際の提出物には、助成法第14条第4項が原則として求める監査報告(会計監査人設置学校法人等では会計監査報告)が加わります。補助金の額が少額で所轄庁の許可を受けたときは監査報告の添付を要しません(同条第2項ただし書・第4項ただし書)。あわせて、同法施行規則第2条第4号は「人件費支出内訳表が第五条の定めるところにより作成されているかどうかに関する公認会計士又は監査法人の監査報告その他の所轄庁が定める書類」を別に添付書類として挙げています。Q&Aは、計算関係書類の会計監査報告と財産目録の会計監査報告が一体で作成されている場合は末尾に財産目録を追加する、とも示しています。知事所轄の学校法人は、提出の方法・部数を所轄庁の提出要領で確認することになります。
内訳表の作り方そのものは、Q&Aによれば「記載内容や様式等は、改正前の学校法人会計基準において規定されていた内容を引き継いでいます」とされています。根拠となる省令が移った一方で、記載内容は引き継がれている、という整理です。ただし部門の区切りには先の予定があり、令和7年3月27日の通知は、内訳表の「学校法人」部門の業務の範囲について、令和9年度の事業活動収支内訳表・資金収支内訳表・人件費支出内訳表の作成から、同通知 第二2(7) に掲げる「学校法人部門」の業務の範囲によることとしています。
7. 引当金に関する科目の取扱い
改正で第11条第2項に引当金の規定が置かれました。条文は「退職給与引当金のほか、引当金については、会計年度の末日において、将来の事業活動支出の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該会計年度の負担に属する金額を事業活動支出として繰り入れることにより計上した額を付すものとする」と定めています。
通知(6高私参第27号 第一)は、①将来の特定の事業活動支出であること、②その発生が当該会計年度以前の事象に起因すること、③発生の可能性が高いこと、④金額を合理的に見積ることができること、の4要件を示しています。文部科学省のQ&Aは、賞与引当金・修繕引当金・役員退職引当金などについて「具体的にどの引当金を計上する必要があるかという点については、学校法人の経営・財務状況により多様であることから、各学校法人の状況に応じて個別に判断いただくようお願いいたします」としています。
科目については、基準の別表に「賞与引当金」は列挙されていません。通知(6高私参第27号)の本文も引当金一般の取扱いを示すもので、科目名は定めていません(別添2の注記事項記載例には、引当金の計上基準の例として賞与引当金が登場します)。Q&Aは次のように答えています。
- 令和7年度分の賞与引当金の繰入れの科目は、「学校法人の判断により処理いただければと思いますが、事業活動収支計算書の『教育活動収支』の大科目『人件費』に小科目『賞与引当金繰入額』を追加していただく等によることが考えられます」
- 賞与引当金・賞与引当特定資産の勘定科目および法定福利費等の処理の方法について「通知する予定はありません。勘定科目については、各学校法人で適当な科目を設定ください」
- 流動負債の部に計上する賞与引当金に対応した支払資金の資産計上科目は、固定資産に特定資産「賞与引当特定資産」として計上するより、流動資産(現金預金、有価証券など)として計上する方が、貸借対照表における流動資産と流動負債の対比の観点から有用と考えられる
- 賞与引当金の計上に伴う法定福利費は、学校法人会計で「未払費用」勘定が用いられないことなどに鑑み、「賞与引当金」に含めて計上することが考えられる
令和7年度の期首時点で発生している引当金を令和7年度の貸借対照表に計上する場合、令和7年度の事業活動支出として繰り入れる金額は、事業活動収支計算書の「特別収支」の大科目「その他の特別支出」に「(何)引当金特別繰入額」などの小科目を設けて処理することができるとされています(6高私参第27号 第一2)。
科目を決めたら、注記の側も対応します。学校法人会計基準第40条第1項は、第1号で「引当金の計上基準その他の計算書類の作成に関する重要な会計方針」を、第2号で「重要な会計方針を変更したときは、その旨、その理由及びその変更による増減額」を注記すべき事項として挙げています。引当金の新規計上に伴って重要な会計方針を変更した場合は、この第2号にあたる注記も必要になります。通知(6高私参第27号)別添2の注記事項記載例は、「2. 重要な会計方針の変更等」に「(2) 賞与引当金の計上」を挙げ、文部科学省のQ&A(5-5)には、期首分を特別収支に計上した額と当年度分を人件費に計上した額、それによる収支差額の増減を示す記載例が載っています。
8. 担当者の確認点
- 社内マニュアル・規程が参照している別表番号・様式番号が、新旧どちらの版を指しているかを確認した
- 財務会計システムの様式出力が第一号様式=貸借対照表の並びになっているかを確認した(新学校法人会計基準とシステム対応)
- 追加・細分している小科目が、別表の注の範囲(形態分類、僅少なものの例外)に収まっているかを確認した
- 会計監査人非設置知事所轄学校法人に当たる場合、科目統合の特例を使うかどうかを決めて文書に残した
- 補助金の交付を受ける助成対象学校法人に当たる場合、内訳表3種を助成法施行規則の様式で作成し、監査報告とともに所轄庁への提出書類に添付する段取りを確認した(大臣所轄学校法人は計算書類側と別冊。知事所轄学校法人は所轄庁の提出要領による)
- 第2号・第3号基本金がある場合、基本金の組入れに係る計画集計表(付表様式)を第七号様式の後に添付する段取りを確認した
- 引当金を計上する場合、4要件の当てはめと採用した科目名・見積方法を文書に残し、第40条第1項第1号・第2号の注記(計上基準、変更の旨・理由・増減額)の書き方を確認した
- 附属明細書の摘要欄・借入先の集計単位・基本金明細書の追加行が通知の記載方法に沿っているかを確認した
よくある質問
Q. 文部科学省の新旧対照表はどこにありますか? A. 令和6年9月30日付けの通知(6文科高第1045号「学校法人会計基準の一部改正等について」)の別添に改正省令が収録されており、改正後と改正前の条文を左右に並べた新旧対照の形式になっています。文部科学省「学校法人会計基準等」のページから参照できます(同ページのリンク表示は「令和5年9月30日」となっていますが、通知本体の日付は令和6年9月30日です)。
Q. 勘定科目は自由に追加してよいのですか? A. 小科目は追加・細分ができます(別表第一〜第三の注1)。事業活動収支計算書・資金収支計算書で追加する小科目は形態分類による科目とされ、形態分類が困難で金額が僅少なものだけが例外です(注2)。大科目・中科目の扱いは別表の定めによります。
Q. 賞与引当金は計上しなければなりませんか? A. 文部科学省のQ&Aは、4要件を満たすものについて引当金として計上することが適切とし、どの引当金を計上する必要があるかは各学校法人の状況に応じて個別に判断するよう示しています。計上する場合の科目名も各学校法人が設定するものとされています。
Q. 内訳表はもう作らなくてよいのですか? A. 学校法人会計基準の計算書類からは外れましたが、私立学校振興助成法施行規則に定めがあり、補助金の交付を受ける助成対象学校法人が同法第14条第4項により所轄庁へ提出する書類に添付するものとされています。文部科学省のQ&Aは、記載内容や様式等は改正前の学校法人会計基準で規定されていた内容を引き継いでいるとしています。
まとめ
学校法人会計基準の勘定科目は、貸借対照表が別表第一、事業活動収支計算書が別表第二、資金収支計算書が別表第三に定められています。改正で別表第一と第三が入れ替わり、様式番号も第一号様式が貸借対照表になりました。内訳表3種は助成法施行規則へ移り、附属明細「表」は附属明細「書」(第五号〜第七号様式)になっています。科目名そのものの改廃より、番号の対応と、小科目を追加・細分できる範囲、引当金に関する科目の判断が実務の確認どころになります。決算全体の日程は学校法人の決算実務、財産目録の様式は学校法人の財産目録にまとめています。
出典・参考情報
- 学校法人会計基準(e-Gov法令検索・令和7年4月1日施行版) (確認日:2026-09-08)
- 学校法人会計基準の一部を改正する省令(令和6年文部科学省令第28号)(e-Gov法令検索) (確認日:2026-09-08)
- 私立学校振興助成法施行規則(令和6年文部科学省令第29号)(e-Gov法令検索) (確認日:2026-09-08)
- 私立学校法(e-Gov法令検索) (確認日:2026-09-08)
- 文部科学省「学校法人会計基準等」(公式) (確認日:2026-09-08)
- 文部科学省 6高私参第27号「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成等について(通知)」(令和7年3月27日)(公式) (確認日:2026-09-08)
- 文部科学省「学校法人会計基準等に関するQ&A」(2026年3月23日更新)(公式) (確認日:2026-09-08)
- 文部科学省 学校法人会計基準 様式(第1号〜第8号)(公式) (確認日:2026-09-08)
- 文部科学省 私立学校振興助成法施行規則 様式(内訳表 第1号〜第3号)(公式) (確認日:2026-09-08)
- 文部科学省 6文科高第1045号「学校法人会計基準の一部改正等について(通知)」(令和6年9月30日・別添は新旧対照形式)(公式) (確認日:2026-09-08)
- 私立学校振興助成法(e-Gov法令検索) (確認日:2026-09-08)
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