使い方 議事録AI
教授会の議事録をAIで作る手順と注意点
教授会や学部委員会の議事録作成に議事録AIを使う手順を、録音の準備から要旨整理・確認・保存まで、大学の事務職員の実務に沿って整理します。
教授会の議事録は、学部事務の中でも時間がかかる仕事のひとつです。2〜3時間の会議を録音し、翌日以降に聞き直しながら要旨をまとめ、学部長や議事録署名人の確認を経て確定する。この一連の作業の「聞き直してまとめる」部分を、議事録AI(自動文字起こし・要約ツール)で短縮できます。
この記事では、教授会や学部の各種委員会で議事録AIを使う手順を、事務職員の実務の順番で整理します。特定の製品の使い方ではなく、どのツールでも共通する準備・運用・確認のポイントをまとめています。
結論:AIが担うのは「下書き」まで、確定は人が行う
先に結論です。教授会の議事録作成で議事録AIに任せられるのは、録音の文字起こしと要旨の下書きまでです。
- 発言者の特定、決定事項と単なる意見の区別、機微な発言の扱いは、事務担当者の判断が要ります
- 議事録の確定(学部長・署名人の確認)は従来どおり人が行います
- AIの出力をそのまま正式な議事録にすることは避けてください
「AIで議事録が自動で完成する」のではなく「聞き直しの時間がなくなる」と考えると、期待値がずれません。
手順1:導入前に確認すること
学内の生成AI利用方針を確認する
文部科学省は2023年7月に、大学・高専に対して生成AIの利活用場面や留意点をとりまとめて周知し、各機関が実態に応じて指針等を主体的に整備・見直しすることの重要性を示しています。多くの大学で生成AIの利用指針が定められているので、まず自学の指針で「会議音声を外部サービスに送ってよいか」「個人情報を含むデータの扱い」がどう定められているかを確認してください。
個人情報の扱いを整理する
教授会では、学生の成績・処分、教員人事など、個人情報や機微な情報が議題になります。個人情報保護委員会は2023年6月、生成AIサービスに個人情報を入力する際の注意喚起を出しており、利用目的の範囲内かどうか、入力した情報がサービス側の学習に使われないかの確認を求めています。
実務上は次の整理が必要です。
- 録音・文字起こしの対象にする会議と、対象外にする会議(人事案件など)を決める
- 使うツールが、入力データをAIの学習に使わないことを公式に明記しているか確認する
- 音声データ・文字起こしデータの保存場所と削除ルールを決める
この確認は情報システム部門・法人事務局と一緒に行うのが確実です。判断に迷う項目は、大学が議事録AIを導入する前のセキュリティ確認リストにまとめています。
構成員への周知
録音と文字起こしを行うことは、教授会の構成員に事前に周知してください。「議事録作成の補助のために録音・文字起こしを行い、確定後に音声データを削除する」といった運用を、教授会の冒頭または事前配布資料で明示すると、後のトラブルを避けられます。
手順2:録音の準備
議事録AIの精度は、録音の質でほぼ決まります。
- マイクの位置:会議室の中央、発言者から離れすぎない位置に置きます。大人数の教授会では、複数マイクや会議用スピーカーフォンの利用を検討してください
- オンライン併用の会議:Teams・Zoom・Google Meetのいずれかで開催している場合は、会議ツールに標準で付いている文字起こし機能や、会議ツールと連携できる議事録AIを使うと、参加者ごとの発言が分かれて記録されやすくなります
- 発言のルール:「発言前に名乗る」「マイクを回す」など、人間が聞き取りやすい運営は、AIにとっても聞き取りやすい運営です
手順3:文字起こしと要旨の下書き
会議後、議事録AIで文字起こしを行い、要約機能があれば要旨の下書きを生成します。ここで事務担当者がやることは次の3つです。
- 議題ごとに区切る:多くのツールはトピックの区切りを自動で入れますが、教授会の議題(審議事項・報告事項)と一致しているか確認します
- 決定事項を抜き出す:「承認された」「継続審議となった」「〇〇に一任」など、結論部分は自分の目で確認します。AIの要約は結論と意見の区別が甘いことがあります
- 固有名詞の修正:科目名・委員会名・教員名などは誤変換が起きやすいので、辞書登録機能があれば事前に登録しておきます
手順4:確認・確定・保存
- 下書きを従来の議事録フォーマットに流し込み、学部長・議事録署名人の確認を受けます
- 確定後、音声データと文字起こしデータをいつ削除するかを決めたルールどおりに処理します
- 正式な議事録の保存は、これまでの学内規程(文書管理規程)に従います。議事録AIのクラウド上を正式な保存場所にしないでください
よくある質問
Q. 教授会全体を録音して問題ありませんか? A. 学内の規程と構成員への周知があれば可能なケースが多いですが、人事案件や学生の処分など機微な議題は録音対象から外す運用が現実的です。自学の指針と法人事務局の判断を優先してください。
Q. AIの要約をそのまま議事録にできますか? A. おすすめしません。決定事項の正確性は事務担当者が確認する前提で、AIは下書き役として使ってください。
Q. どのツールを選べばいいですか? A. 会議ツールとの相性、日本語精度、データの扱いで選びます。大学向け議事録AIの比較記事で一次情報ベースの比較表を掲載しています。
まとめ
教授会の議事録作成に議事録AIを入れると、聞き直しの時間を大きく減らせます。一方で、学内の生成AI指針の確認、個人情報を含む議題の切り分け、構成員への周知といった準備を飛ばすと、後から運用を止めることになります。「導入前の確認 → 録音の質 → 下書きの確認 → 人による確定」の順で進めてください。
出典・参考情報
- 文部科学省「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて(周知)」(令和5年7月13日) (確認日:2026-09-02)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日) (確認日:2026-09-02)
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