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解説 議事録AI

理事会・評議員会の議事録にAIを使うときの考え方

改正私立学校法の施行後、学校法人の理事会・評議員会の議事録に求められる記載と署名の扱いを整理し、議事録AIをどこまで使えるかを解説します。

この記事の内容
  1. 結論:AIは「発言の記録」に使い、「議事録の確定」は従来どおり
  2. 文科省の議事録例に見る「記載項目」
  3. 議事録AIが役立つ場面
  4. 議事録AIを使わない方がよい部分
  5. データの扱いは理事会だからこそ慎重に
  6. まとめ

2025年4月に施行された改正私立学校法で、学校法人の理事会・評議員会の権限や運営に関する規定が整理されました。文部科学省は、改正法施行後の「理事会の議事録(例)」を公開しており、多くの学校法人がこれを参考に議事録の様式を見直しています。

この記事では、その議事録例を手がかりに、理事会・評議員会の議事録作成に議事録AIをどこまで使えるかを考えます。法的な助言ではなく、事務局の実務の観点からの整理です。個別の判断は顧問弁護士や所轄庁への確認を優先してください。

結論:AIは「発言の記録」に使い、「議事録の確定」は従来どおり

理事会・評議員会の議事録は、法人のガバナンスを示す正式文書です。文部科学省の議事録例を見ると、記載すべき項目が具体的に示されており、議事録署名人の署名等が前提になっています。

  • 議事録AIが役立つのは、議事の経過(誰が何を発言したか)の記録の部分です
  • 出席者・議長・決議要件の充足・署名といった形式的な項目は、AIではなく事務局が従来どおり作成します
  • 確定・署名のプロセスは変わりません

文科省の議事録例に見る「記載項目」

文部科学省が公開している「理事会の議事録(例)」には、次のような項目が並んでいます。

  • 開催日時・開催場所
  • 出席者(理事・監事・会計監査人・その他)。開催場所にいない理事等が出席した場合は、WEB会議など出席の方法を記載
  • 欠席者、議長
  • 決議に特別の利害関係を有する理事
  • 議題(決議事項・報告事項)
  • 議事の経過の要領及びその結果
  • 議事録署名人の署名等

議事録例の注記では、議事の経過の要領の記載ぶりは「主な意見・発言の要旨のみを記載する方法」と「全ての発言を書き起こす方法」が考えられ、どちらにするかは各学校法人の判断とされています。この点が、議事録AIの使いどころに直結します。

議事録AIが役立つ場面

「要旨のみ」方式の学校法人

発言の要旨だけを記載する方式なら、議事録AIの文字起こしは「要旨を書くための下書き」になります。会議後に録音を聞き直す時間がなくなり、発言の取りこぼしも減ります。ただし、どの発言を要旨として残すかは事務局の判断です。

「全発言を書き起こす」方式の学校法人

全発言方式では、議事録AIの文字起こしがそのまま議事録の素材になります。この場合は、発言者の識別精度と固有名詞の誤変換の修正作業が実務の中心になります。話者分離の機能があるツールか、会議ツール(Teams・Zoomなど)と連携して参加者ごとに発言が分かれるツールが向いています。

反対意見・監事の意見の記録

議事録例の注記には、私立学校法施行規則第15条第3項に基づき、一定の意見・発言があったときはその概要を記載する旨が示されています。反対した理事の意見や監事の意見を正確に残す必要がある場面では、録音と文字起こしがあることで「言った・言わない」の確認が容易になります。

議事録AIを使わない方がよい部分

  • 署名・記名押印:議事録例では、議事録署名人として理事・監事が署名等を行う形になっています(自筆署名の場合は押印不要との注記があります)。署名等する理事を寄附行為で定めていない場合は、出席した理事及び監事全員が署名等を行うとされています。ここはAIの関与する余地がありません
  • 決議要件の記載:出席理事数・議決要件の充足・可決/否決の結果は、事務局が正確に記載します
  • 利害関係のある理事の退席:退席の事実は議事録に残す必要があり、録音の切れ目と混同しないよう事務局が管理します

データの扱いは理事会だからこそ慎重に

理事会・評議員会では、寄附行為の変更、役員の選任、財務、契約など法人の機微情報が扱われます。議事録AIを使う場合は、次を確認してください。

  • 音声・文字起こしデータがサービス側のAI学習に使われないことが公式に明記されているか
  • データの保存場所と削除の手段
  • 理事会の議事録を「使ってよい会議」に含めるかどうかを、学内のガイドラインで明示しているか

確認項目は大学が議事録AIを導入する前のセキュリティ確認リストに、ガイドラインの作り方は議事録AIの学内利用ガイドラインの作り方にまとめています。

まとめ

改正私立学校法のもとでも、議事録に求められる記載項目と署名のプロセスは事務局の仕事として残ります。議事録AIが変えるのは「議事の経過を記録する手間」の部分です。要旨方式か全発言方式かという法人の方針を先に決め、そのうえで録音・文字起こしをどう使うかを設計してください。

出典・参考情報

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